大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(ネ)2478号・昭30年(ネ)2187号 判決

控訴人は被控訴人が本件土地の所有権取得登記をする以前から当時の所有者であつた訴外久能木孝三郎から本件土地を賃借し該地上に本件建物を所有しているもので、被控訴人は右事実を知悉の上本件土地を取得したものであるから被控訴人の本件土地所有権は控訴人の賃借権の制限を受ける旨主張するけれども、建物の所有を目的とする土地の賃借権は、その賃借人がその地上に登記した建物を所有するか又は右賃貸借について登記をしている等特段の事情のない限り、これを以て第三者に対抗することができないものであつて、このことは第三者がその賃借権の存在することを知つていたと否とを問わないものと解すべきであるから、控訴人の右主張は到底採用することができない。

次に控訴人の権利濫用の抗弁について判断する。成立に争のない乙第八、第九号証と原審証人清野寿永松の証言及び当審における控訴本人尋問の結果によると、控訴人は従業員数名を使用して有限会社瀬間商店を主宰し本件土地で鉄鋼材の販売等を営み、控訴人所有の本件建物は右営業と一部従業員の住宅として使用されていることを認めることができる。従つて控訴人が被控訴人から本件建物を収去して本件土地の明渡を求められる結果、控訴人やその従業員の生活上の困窮を招くであろうことは窺われないわけではなく、また被控訴人が控訴人主張のように本件土地を自己の営業のために使用するものでなく他に有利に売却する目的で本件土地の明渡を求めるものであるとしても、もともと控訴人が本件土地を占有使用するについて被控訴人に対抗することのできる正当の権原を有しない以上、被控訴人が控訴人に対し本件建物を収去してその敷地の明渡を訴求するのは、当然の権利の行使であつて、他に特段の事情の認められない本件においては、これを以て権利の濫用と認めることはできないから控訴人の右主張も採用することができない。

(浜田 仁井田 伊藤)

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